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設計事務所が作成する図面の種類と違いを解説!

著者:株式会社巽

「設計事務所に図面の作成を依頼したいけれど、どこまで任せるべきか分からない」「施工図や設計図、竣工図の違いが曖昧で、打ち合わせで不安になる」そんな悩みを抱えていませんか?

 

建築やリノベーションを検討する中で、図面の種類や役割を正しく理解していないと、後々トラブルに発展するリスクも少なくありません。例えば、施工図と設計図の違いを知らずに設計事務所と契約を進めた結果、追加の設計作業や確認申請のやり直しによって、予期せぬ費用や時間が発生するケースも報告されています。

 

本記事では、建築業界で使用される図面の基本的な種類から、設計事務所に依頼する際のチェックポイント、建築士による業務範囲の違いまで、専門知識に基づいて徹底的に解説していきます。

 

設計図面とは何か?意味と定義を建築のプロがわかりやすく解説

建築における「図面」とは何か?

建築において「図面」とは、建物の構造、設備、意匠、配置など、建築物に関するあらゆる情報を視覚的に表現した設計書のことを指します。これには建築士が描く設計図や、工事現場で使われる施工図、完成時に残される竣工図などが含まれ、建築プロジェクトの各段階で欠かせない基礎資料となります。図面がなければ、現場での工事はもちろん、行政への申請、施工業者への指示、施主との合意形成も成立しません。

 

図面には建築に必要な情報が網羅されており、建築主の要望、建築士の設計意図、施工業者の施工手順、安全性への配慮、法令順守など、建物づくりに関わるすべての要素が詰まっています。そのため、図面は単なる「絵」ではなく、建築に関わるすべての関係者が共通言語として活用するドキュメントです。

 

以下に、図面の主な役割を整理します。

 

役割 説明
設計内容の伝達 建築士が考えた設計意図を、施主や施工者に正確に伝える
確認申請・法令対応 建築基準法や関連法規に適合しているかを確認するために使用
施工指示・現場管理 工務店や職人が具体的な施工内容を理解し、正確に施工するための指針
見積作成・予算管理 工事費算出の根拠として材料・作業の数量を明示
竣工後の管理 修繕やリフォーム時に必要な建物情報を保持

 

図面は建築工程の「情報の起点」として、設計事務所、建築主、工事会社、行政機関、設備業者、さらには将来的に管理を担う不動産会社や施設運営者など、あらゆる立場の人々が参照するものです。

 

設計図・施工図・竣工図の総称としての意味

建築において「設計図」「施工図」「竣工図」という言葉はしばしば混同されがちですが、それぞれ役割と使用されるタイミングが異なります。これらを総称して「建築図面」と呼ぶこともありますが、厳密には使い方に注意が必要です。

まず、設計図は建築士が作成し、建築主との合意形成や建築確認申請のために使われます。意匠、構造、設備など複数の図面群で構成され、建物の基本的な計画が記されたものです。

施工図は、設計図をもとに実際の工事現場での施工を可能にするため、より詳細かつ現場の条件に即した内容で再構成された図面です。現場監督や職人、大工、設備業者などがこの図面をもとに作業を進めます。

竣工図は、建物の完成後に「実際に施工された内容」を反映した図面です。施工図との差異や変更点を正確に記録し、将来的なメンテナンスやリフォームの際の重要資料となります。

この3つの図面の違いを明確にするため、以下の比較表を参考にしてください。

図面の種類 主な作成者 使用タイミング 主な目的
設計図 一級建築士・二級建築士 設計段階・確認申請・契約時 建築計画の可視化、行政審査、施主との合意
施工図 現場監督・施工業者・協力会社 工事前〜工事中 実際の施工内容を詳細に指示、現場の条件を反映
竣工図 設計者または施工者 工事完了後 完成建物の正確な記録、今後の維持管理に活用

また、竣工図は法的に提出義務がある場合もあり、その正確性が後々の信頼性にもつながります。最近では建築DXの潮流により、これらの図面がBIMなどの統合データとして一元管理されるケースも増えています。

法的に定義される「設計図書」とは

設計図書とは、建築士法および建築基準法に基づいて定められている、建築物の設計に関する公式な資料一式を指します。この中には設計図面はもちろん、仕様書、構造計算書、面積表、仕上表、設備表などが含まれ、建築確認申請の際や契約の基準資料として活用されます。

特に重要なのが「確認申請図書」としての役割です。建築物を建てる際、建築主は地方自治体に対して建築確認申請を行う義務があります。その際に添付するのが設計図書であり、設計の内容が建築基準法や関連法令に適合しているかを審査されます。

以下に、設計図書の構成要素を例示します。

設計図書の構成要素 内容
意匠図 平面図、立面図、断面図などの建築形状を示す図面
構造図 基礎・柱・梁・耐震壁など構造体を示す図面
設備図 電気・空調・給排水・防災などのインフラ系図面
仕様書 使用材料、仕上げ方法、施工条件などの記述情報
面積表・仕上表 延床面積・天井高・仕上げ材料の記録

設計図書は「誰が作るのか?」という点も重要です。基本的には、設計事務所が建築士法第20条に基づいて責任を持って作成します。作成には一級または二級建築士の国家資格が必要であり、その内容に不備があれば確認申請が通らず、建築工事の着工自体ができません。

また、設計図書は建物の完成後も、施工記録として保管されることが多く、法的トラブルや改修工事の際の資料としても重宝されます。

設計図と施工図・竣工図の違い

設計図と施工図の違い

まず、設計図は主に建築士が作成する図面で、建築主の要望や敷地条件、法令などを踏まえて建物の「設計意図」を反映した基本的なプランを示します。設計段階で作成され、確認申請や建築主との契約書類としても活用されます。

一方、施工図は施工者側(工務店、施工管理者、専門工事業者など)が設計図をもとに作成する図面で、現場の実情や施工の具体的手順、材料の納まりなどを詳細に記したものです。つまり、設計図が「理想の建物」を描くものなら、施工図は「現実に建てるための手順」を可視化した図面です。

以下に両者の違いを整理します。

項目 設計図 施工図
作成者 建築士(設計事務所) 現場監督・専門業者
作成時期 設計段階 着工前から施工中
目的 建物の全体像を伝える 実際の工事手順・納まりを詳細に指示
法的位置づけ 確認申請や契約に使用 工事管理や発注に使用
精度・内容 概略的で法規的な整合性が重視される 細部寸法、部材配置、配管経路などが明確に記載される

施工図が必要になる背景には、建築現場の制約や納まりの問題、部材の調達状況など、現実的な課題があります。たとえば設計図に天井高が2.4mと記載されていても、施工段階で空調配管のルートや梁との干渉が判明し、実際には2.35mに変更されることも少なくありません。これらを現場で対応するための情報を施工図で反映し、各職人や工程管理者に周知させる役割を担います。

また、施主として注意すべきポイントは、施工図はあくまで施工者側が作成するため、設計意図との乖離が発生する可能性があるという点です。設計者によるチェックバック(設計者が施工図を確認し承認する作業)を怠ると、意図に反する施工が進んでしまうリスクがあります。

図面に関する疑問を深掘りすると、以下のような不安が挙げられます。

1 施工図は施主が確認するべきなのか
2 設計図と施工図が異なる場合、どちらが優先されるのか
3 費用面で設計図しか用意されていないとどんなデメリットがあるのか
4 施工図作成費はどのように扱われるのか
5 設計者が施工図チェックを行っていない事例はあるのか

これらを解消するためにも、設計事務所と施工会社との連携体制、施工図承認のフロー、図面の閲覧・共有方法などを事前に確認することが、トラブルを未然に防ぐ鍵となります。

施工図と竣工図の違い

施工図と竣工図は、いずれも建物の工事において重要な図面ですが、使用されるタイミングと記載内容には明確な違いがあります。簡潔に言えば、施工図は「これからどう建てるか」、竣工図は「どう建てたか」を記録するための図面です。

施工図は工事の進行前または進行中に作成され、各業者に施工方法を伝える実務的な図面です。これに対して、竣工図は建物が完成した後に実際の施工内容を反映して作成され、最終成果物として施主に提出されます。

以下に両者の違いを整理した比較表を示します。

項目 施工図 竣工図
作成タイミング 工事前・工事中 工事完了後
内容 計画に基づく施工方法 実際に施工された内容
目的 現場での施工指示・発注資料 将来的な修繕・リフォームの基礎資料
作成責任者 現場監督、専門業者 設計者または施工者(監理者)
法的扱い 必須ではないが必要不可欠 公共施設では提出義務あり
利用シーン 工事現場、職人の作業指示 維持管理、改修工事、資産管理

竣工図には、現場での変更・仕様変更・工事中の修正などが反映されるため、建物の「真の姿」を把握するうえで欠かせません。これがないと、配管位置が不明でリフォーム時にトラブルが生じたり、耐震診断や設備更新で必要な情報が得られなかったりする事態になりかねません。

建築主や不動産オーナーにとって、竣工図の有無は資産価値を左右する重大な要素となります。特に商業施設やオフィスビルなど、テナント変更や設備交換が頻繁に行われる建物では、竣工図があるかどうかが将来的な運用コストにも直結します。

また、よくある疑問として次のようなものがあります。

1 竣工図は誰が作るべきか(設計者?施工者?)
2 無償で提出されるのか、有償か
3 修正が多くなった場合でも竣工図にすべて反映されているのか
4 保管方法や保存期間はどうなっているのか
5 万が一紛失した場合、再発行は可能か

これらの疑問に対し、竣工図の提出や保存は契約時に明記すべき事項であり、建築士法に基づく業務範囲として責任を明確化する必要があります。また、クラウドストレージや専用図面管理システムなどを活用することで、将来的なデータ活用にも対応可能です。

意匠図・構造図・設備図の関係

建築図面はその目的や対象によって複数に分かれており、なかでも中核をなすのが意匠図、構造図、設備図です。これらは総称して「専門図」とも呼ばれ、設計図書や施工図の中でも特に重要な役割を担います。各図面は建築士や設計事務所の中でも異なる分野の専門家によって作成され、相互に連携しながら一つの建物を完成させるために必要な情報を網羅しています。

まず、意匠図とは建物の見た目や使い勝手、空間構成を示す図面であり、建築主の要望やデザインコンセプトを視覚的に表現したものです。平面図、立面図、断面図といった基本的な図面がこれに該当します。配置計画や動線計画、開口部のデザインなども意匠図に含まれることが一般的です。

構造図は、建物を安全に支えるための柱、梁、壁、基礎などの構造部材を記載した図面です。耐震性や耐久性を確保するための設計内容が明示されており、構造計算書と合わせて使用されます。一級建築士や構造設計一級建築士といった構造専門の資格を持つ者が作成するのが一般的で、鉄筋の本数やコンクリートの厚みなども細かく指示されます。

設備図は、建物に必要な各種インフラ(電気、空調、給排水、防災設備など)の配置や配管・配線ルートを示した図面です。意匠や構造との干渉を避けながら、機能性とメンテナンス性の高い設計が求められます。設計段階では専門の設備設計者が加わることが多く、CADやBIMでの統合設計も普及しています。

これら3種類の図面は、以下のような関係性を持ちながら設計・施工に活用されます。

専門図の種類 担当者 主な役割 他図面との関係
意匠図 建築設計士 建物の外観・レイアウト・デザイン 全図面のベース。構造や設備の前提条件となる
構造図 構造設計士 建物の安全性確保(耐震・耐荷重) 意匠に合わせて構造体を設計。干渉調整が必要
設備図 設備設計士 空調・給排水・電気・消防設備の配置 意匠・構造と整合性をとって配置を決定

使用されるタイミング・目的の違い

建築プロジェクトの進行において、図面はその都度さまざまな目的で使用されます。企画段階から設計、確認申請、施工、完成、引き渡し、そして維持管理まで、各フェーズで必要とされる図面の種類と役割は異なります。これを理解しておくことで、施主としても建築の全体像を把握しやすくなり、より適切な判断が可能になります。

建築プロジェクトにおける主なタイミング別の図面使用例は以下のとおりです。

プロジェクト段階 使用図面 主な目的
企画・基本設計 ラフスケッチ、意匠図(初期) 顧客の要望整理、概略設計、ゾーニング
実施設計 詳細意匠図、構造図、設備図 工事に必要な情報の詳細化、図面承認、確認申請
確認申請 確認申請図書(意匠図・構造計算書) 建築基準法等への適合性審査
着工前 施工図(構造詳細図、配筋図、電気系統図など) 実際の施工に必要な寸法や納まり情報の確定
工事中 修正施工図、納まり図 現場条件に応じた変更対応、現場指示用資料
竣工時 竣工図 実際に施工された内容の記録、今後のメンテナンス資料
維持管理・改修時 竣工図、設備系統図、改修履歴図 リフォーム・修繕・設備更新時の参照資料

図面を描けるのは誰?建築士の資格とできる業務の範囲

一級・二級建築士でできる範囲

建築士は、設計・監理業務を行うための国家資格であり、その資格の種類によって取り扱える建築物の規模や用途に制限が設けられています。一級建築士と二級建築士の違いを理解することは、建築計画において非常に重要です。特に建築主が依頼する際の判断材料にもなり、設計事務所選びの際の基準にも直結します。

一級建築士は、建築物の用途や規模に制限がなく、すべての建築物の設計および工事監理が可能です。超高層ビルや特殊建築物などの大規模建築にも対応できるため、都市部での商業施設・公共施設などの設計には不可欠な存在です。

一方、二級建築士は、扱える建物の規模に制限があり、原則として延べ面積500平方メートル以下、高さ13メートル以下、軒の高さ9メートル以下の建物が対象です。住宅や小規模店舗、木造2階建ての建築物などが主な業務範囲となります。

以下の比較表をご覧ください。

資格種別 設計可能な建築物 主な用途
一級建築士 全ての建築物(制限なし) 高層ビル、劇場、病院など 商業施設、大規模集合住宅
二級建築士 中低層の建築物に制限あり 一戸建て住宅、小規模事務所など 木造住宅、小規模店舗
木造建築士 木造住宅(制限あり) 木造平屋・二階建て住宅 在来工法の戸建住宅

建築士でなくてもできる設計行為とは

建築設計と聞くと「建築士の独占業務」と考える方が多いですが、実際には一部の設計行為については建築士資格がなくても行うことが可能です。ただし、これはあくまで「法的な設計業務」に該当しない範囲に限られ、誤解やグレーゾーンが発生しやすい部分でもあります。

たとえば、次のような設計行為は建築士資格を持たなくても可能です。

1 インテリアコーディネート(家具配置、照明計画など)
2 展示会や店舗の内装レイアウト設計(仮設構造含む)
3 建築設計ソフト(CAD、BIM)による図面作成の補助作業
4 外構デザインや造園設計(建築物に直接関与しない)
5 パースや3Dモデリングによる提案図作成

これらは「建築基準法に基づく建築確認を要しない作業」として分類されることが多く、実務においては設計事務所内のスタッフや外注先、CADオペレーターが担当するケースもあります。

また、建築業界では実務経験者による「図面作成のみの受託」や「意匠設計補助」といった案件が存在しますが、これも法的には問題がない範囲で行われています。問題となるのは、無資格者が「設計責任者」や「監理者」として業務を遂行する場合です。これは明確に建築士法違反に該当します。

以下に「建築士が関与すべきかどうか」の目安をまとめた表を紹介します。

行為内容 建築士の関与 備考
建築確認が必要な図面の作成 必須 法的責任が伴うため建築士が署名・捺印
内装レイアウト変更(軽微) 不要 構造に関わらない範囲であれば可能
プレゼン資料用パース作成 不要 商業施設・住宅の初期提案段階など
設計補助(オペレーター作業) 不要 設計者の指示を前提とする業務

建築士法における設計・監理業務の定義

建築士の職能と責任は、建築士法という法律によって明確に定められています。この法律は、建築物の安全性と公共性を確保するために制定されたもので、設計や工事監理などの業務範囲が詳細に規定されています。

まず「設計」とは、建築物を計画・構想し、図面や仕様書などを通じてそれを具体化する業務を指します。この中には、意匠(デザイン)、構造、設備といったすべての分野が含まれ、建築基準法を始めとする各種法令との適合性を図ることも求められます。

一方「工事監理」とは、設計図書通りに建築工事が行われているかを確認・記録・指示する業務です。工事の進捗確認や検査、施工者との打合せなどを通じて、建築物の品質を担保します。

建築士法第2条および第3条には、これらの業務が建築士の独占業務であることが明記されています。つまり、原則として建築物の設計および工事監理は建築士の資格を有する者でなければ行ってはならず、これに違反した場合には法的罰則が科せられます。

以下は、建築士法に基づく業務範囲と罰則の要点です。

業務内容 建築士の専業範囲 違反時の主な罰則(概要)
設計(意匠・構造・設備を含む) 必須 1年以下の懲役または50万円以下の罰金
工事監理(現場での設計図書通りの確認) 必須 同上(状況により業務停止処分)
建築確認申請図書の作成・署名・捺印 必須 無資格者が行った場合、無効となる
登録なしでの建築士業務 違法 建築士法第24条により業務禁止処分

図面の書き方!初心者・学生・設計者向けに基礎から解説

図面作成に使う主なソフト

建築設計において図面を正確に描くためには、手書きではなくデジタルソフトの利用が主流となっています。特に現場で活躍するプロの設計士や建築士は、専用ソフトウェアを使って設計図や施工図、竣工図まで一貫して作成しています。初心者や学生にとっても、こうしたソフトの導入は設計スキルを大きく向上させる第一歩です。

建築業界でよく使用される代表的なソフトには以下のようなものがあります。

ソフト名 特徴 対象ユーザー 推奨用途
AutoCAD 世界標準の2D/3D CADソフト。高精度な作図が可能。 建築士、設計事務所、施工会社 汎用図面、施工図、意匠図
Vectorworks 建築・インテリア分野に強く、直感的な操作性が魅力。 建築学生、住宅設計者 意匠図、プレゼン資料作成
Jw_cad 無料で使える国産CADソフト。建築向けにカスタマイズ可能。 初心者、学生、工務店 基本図、平面図、配線図
Revit BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)対応。 ゼネコン、大手設計事務所 3D設計、構造図、設備図

特にAutoCADは、設計図から施工図、竣工図に至るまで広範囲な用途に対応しており、建築士試験でも必須レベルとされています。一方、Vectorworksは建築系大学でも多く導入されており、パースやプレゼン資料を視覚的に美しく仕上げる機能が充実しています。

また、BIM対応ソフトであるRevitは、建物全体の構造・設備・意匠を統合的に設計・管理できるため、大規模な建築物や商業施設での設計に最適です。これは従来の2D CADに比べて、施工段階でのミスや手戻りを大幅に削減できるというメリットがあります。

一方で、Jw_cadは操作が軽く、古くから建築業界で親しまれている無料ソフトです。国産のため日本語表示も充実しており、手軽に図面作成を始めたい初心者にとって強い味方となるでしょう。学校教育でも導入例が多く、まずはこのソフトから始めてCADの基礎を学ぶという流れもよく見られます。

図面ソフトの選び方で重要なのは、「自分が作成したい図面の種類」「実務に近いスキルを得たいか」「将来的な業務との親和性が高いか」という3つの視点です。例えば、個人住宅の意匠設計をメインにするならVectorworksが向いていますが、施工現場での確認や詳細図の作図まで対応したい場合はAutoCADやRevitが適しています。

多くの有料ソフトは体験版や教育機関向けライセンスを用意しており、導入コストを抑えた学習環境が整ってきています。また、操作方法の習得には独学だけでなく、オンライン講座や建築系専門学校のカリキュラムも効果的です。

図面作成の基本手順(寸法・縮尺・記号)

図面作成の基本ステップ

図面を描く流れは以下の通りです。

  1. 図面の種類と目的を明確にする(意匠図、構造図、施工図など)
  2. 図面サイズ・縮尺を設定する(A1~A4/1:100・1:50など)
  3. 建築基準法やJISに基づいた寸法と記号を使用する
  4. 作図レイヤーを分けて管理する(壁・柱・設備・文字など)
  5. 寸法、注記、凡例の整備
  6. チェック・修正・出力(PDF化や印刷用ファイルに変換)

まず、図面の種類と用途を理解することが最優先です。例えば意匠図は施主や行政への説明に使われる視覚的な図面であり、施工図は現場の職人がその通りに工事を行うための実務図です。用途に応じて表現方法や図面構成は変わるため、誤った形式で作成すると重大な誤解を招くリスクがあります。

寸法の取り方と精度の重要性

図面上の寸法表記は、「中心線からの距離」「壁厚」「柱芯」などを示すため、建物の実寸と設計意図を正しく伝えるための鍵となります。単位は一般的にミリメートル(mm)を使用し、1000mm=1mを明確に理解しておく必要があります。CADソフトでは、原寸(1:1)で入力し、印刷時に縮尺を指定するのが基本です。

よくある間違いは「寸法線が重なっている」「寸法が抜けている」「現場で再現できない寸法表記」です。これは図面の読み手を意識していないことが原因です。特に施工図では、現場の大工や電気工事士など、図面をもとに直接作業を行う職人が見やすいように描かれるべきです。

縮尺の設定と使い分け

建築図面では1:100、1:50、1:20などの縮尺がよく使われます。これは実際の大きさに対して、どの程度縮めて図面上に表現するかを示すものです。意匠図では1:100程度の大まかな図面を使い、詳細図や設備図では1:20や1:10の拡大図が必要となります。

縮尺 用途例 説明
1:500 配置図 敷地全体の位置関係の把握
1:100 平面図・立面図 建物の全体像を表現
1:50 詳細な間取り図 壁厚や家具レイアウトに適する
1:20~1:5 詳細図 階段、建具、設備の構造解説

縮尺設定のミスは、建築確認申請での不備や現場での寸法不一致を招くこともあるため、慎重な管理が求められます。

建築記号の基礎知識と使用法

建築図面には多くの記号が使用されており、例えば「開き戸」は扇形の記号で表現され、「窓」は二重線で記されます。また、電気図では「コンセント」「スイッチ」などが共通記号で示され、施工者が一目で認識できるようになっています。

記号の正確な使い方を知らないまま図面を描いてしまうと、施工段階で誤解を招いたり、設備機器の誤発注などのトラブルが発生しかねません。記号の意味や配置には、JIS(日本産業規格)や建築基準法に基づく基準があり、それらに準拠した図面作成が求められます。

初心者がつまずきやすいポイント

以下の点は図面作成初心者が特に注意すべきです。

  • 縮尺と実寸の整合性が取れていない
  • 寸法が一部抜けていて確認申請が通らない
  • 建具記号や構造表現が誤っている
  • CAD上の寸法が小数点表示で施工に不向き
  • 線の太さやレイヤーが統一されていない

レイヤーとスケールの概念

建築図面の正確性と可読性を担保するためには、「レイヤー」と「スケール」の概念を理解しておくことが不可欠です。これらは施工ミスを防ぐだけでなく、作図効率の向上や、関係者間のスムーズな情報共有にもつながります。

レイヤーとは何か?

レイヤー(層)とは、図面を構成する要素を機能ごとに分離して管理するための機能です。たとえば、壁、柱、建具、寸法線、注記、設備、電気、家具など、それぞれに専用のレイヤーを設けることで、視認性と修正のしやすさを大幅に高めることができます。

以下はレイヤー構成の一例です。

レイヤー名 内容 表示色・線種例
01_外壁 外壁の線(構造) 黒/実線
02_内壁 間仕切り線 グレー/破線
03_建具 ドア・窓など 青/点線
04_寸法 寸法線・数値 赤/細線
05_家具 テーブル・椅子など 緑/実線
06_設備 コンセント・給排水 紫/実線

このように分離管理を行うことで、例えば「家具だけ非表示にして印刷したい」「寸法の表示ミスをチェックしたい」といった場合にも、非常に柔軟に対応できます。

スケールの考え方と活用

スケールは図面を印刷する際の「表示倍率」を意味します。例えば、設計者がCAD上で原寸で作図した図面を、A3サイズの用紙に収まるように1:100の縮尺で出力するといった形です。

設計段階では常に「原寸(1:1)」で描き、スケール調整は印刷時に行うのがCAD作図の基本です。これにより、あらゆる縮尺に対応した高精度な図面作成が可能となります。

レイヤーとスケールが不適切だと何が起こるか?

  • レイヤー管理がされていない:要素が重なり図面が読みにくくなる
  • 関係者による誤解:寸法や設備情報が他の線に埋もれる
  • 印刷時に文字が見えない:縮尺を考慮しない文字サイズ
  • 表示・非表示の切り替えができない:全レイヤーに情報が混在

まとめ

設計事務所に図面作成を依頼する際には、施工図や設計図、竣工図といった各種図面の違いや目的を正しく理解することが、建築計画を円滑に進める第一歩となります。特に、施工段階での認識のズレや確認申請時の不備が後のトラブルに直結するケースも多く、図面の意味と範囲を把握しておくことは、施主にとって非常に重要です。

建築士法では、建築士でなければできない業務の範囲が明確に定められており、設計業務の一部を無資格者が行った場合には、法的リスクが発生します。また、図面の作成にはCADやBIMなどの専用ソフトが必要であり、これらを使いこなすには技術的なスキルと経験が求められます。図面の正確性は建築物の安全性にも直結するため、依頼先の設計事務所がどのような業務体制やチェック体制を敷いているのかも、見極めのポイントとなります。

「図面の内容を深く理解していなかったために、想定外の費用が発生した」「設計と施工の間で食い違いが生じた」という声は少なくありません。こうしたトラブルを未然に防ぐためには、図面の種類や役割、設計士の業務範囲について、事前に丁寧に学んでおくことが不可欠です。

よくある質問

Q. 設計図と施工図では、どちらの図面に重点を置くべきですか?
A. 設計段階での完成イメージを正確に表現するのが設計図、実際の現場で施工のために使われるのが施工図です。図面の重要性としてはどちらも欠かせませんが、施工図は現場対応における施工精度や安全性に直結するため、施工時点でのチェック体制が非常に重要です。現場における図面トラブルのうち、約72%が施工図の不備に起因するとされており、設計事務所がどのように施工図を実施しているかが施工品質に大きく影響します。

 

Q. 建築確認申請に必要な図面はどの種類になりますか?
A. 建築確認申請時に必要な図面には、意匠図(平面図・立面図・断面図)、配置図、構造図、設備図、建具表などが含まれます。申請先である建築主事や指定確認検査機関によって提出要件が若干異なることもありますが、最低限10種類前後の図面が必要とされるのが一般的です。図面の正確性と記載内容の整合性が審査通過のカギとなるため、設計事務所と密に連携して準備を進めることが大切です。

 

Q. 設計士ではなくても図面を作成できますか?法的リスクはありますか?
A. 建築士の資格がない人が図面を作成すること自体は法律で一概に禁止されているわけではありませんが、「設計」として建築確認申請や監理業務を行う場合には一級建築士または二級建築士の資格が必要です。無資格で設計図書を作成・提出した場合、建築士法違反として1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があり、依頼者にも不利益が及ぶ恐れがあります。建築物の安全性や法令適合性を確保するためにも、資格保持者による対応が求められます。

会社概要

会社名・・・株式会社巽
所在地・・・〒338-0832 埼玉県さいたま市桜区西堀10-10-11
電話番号・・・048-829-7931

〒377-1304
群馬県吾妻郡長野原町長野原1295−32
FAX:027-230-1769